最近日本各地で相次いで報告されている熊による被害。怪我だけでなく、死者までも出ており、今や深刻な問題となっています。
熊のいるような山や森林などにいる訳じゃないから自分は大丈夫だろうと思っている方も多いと思いますが、住宅街でも出没して、畑を荒らしたりするなど各地で報告されています。
誰がいつ熊に遭遇してもおかしくない状況。もちろん整備されているキャンプ場でも熊に遭遇する可能性は十分にあります。
いざ自分が遭遇した時にとる行動を知っていることで、落ち着いて対処でき、熊に襲われたりすることを回避することができたりします。
今回は、熊に遭遇した時の対処法についていくつか紹介したいと思います。是非参考にしてみて下さい。
熊の生態
熊に遭遇した時の対処法について紹介する前にまずは熊の生態についてみていきましょう。
熊は鋭くて強い牙や爪を持っており、小さな音でも聞き分ける聴力と、犬のようにわずかな匂いを嗅ぎ分ける嗅覚を備えた大型動物です。 特に嗅覚は、人間より優れていることはもちろん、犬の嗅覚と比べても約21倍の感度があると言われています。
また、優れた運動能力を持っており、泳ぐことや木に登ることや時速40キロ以上で走ることもできます。
このように、熊は強くて怖い凶暴なイメージがあると思いますが、基本熊はとても臆病な生き物で、熊としてもできるだけ人間と距離を取りたいと思っているようです。
熊の一年
⭐️地域や年などにより変わることもありますが、12月から4月までは冬眠します。
その為、熊が冬眠準備に入る12月頃にかけて各地で熊による被害が相次いでいます。
⭐️冬眠から覚めると、山菜などを食べます
⭐️6月に繁殖期を迎えます
⭐️夏はハチミツや昆虫を探して食べます
⭐️秋になると木の実を食べます
熊の生態について理解できたでしょうか?次に熊に襲われないようにする為のキャンプで気をつけるといいことについて紹介したいと思います。
熊に襲われないようにする為の予防策
予防策① 食料の保管に気をつけましょう
熊は基本木の実などを食べますが、動物の死骸や人間の食べ物も食べたりもします。いわゆる雑食です。
その為、キャンプで作って余った料理や食べ終わった匂いのついた食器などはすぐに片付けるようにしないと、嗅覚が優れている熊が嗅ぎつけてくる可能性がありますので、保管には十分気をつけましょう。
予防策② 熊が出没するような危険な場所でキャンプをしない
熊に出会わないようにする為には、まず熊が出没する可能性の高いような所へ近づかないようにすることがとても大切です。
基本的にはキャンプ場の整備された安全な範囲内で行動し、管理の行き届いていないような山奥や山林に踏み込まないようにしましょう。
また、キャンプを計画する際にはそこの地域の熊の出没情報を必ずチェックしましょう。自治体が情報を出していれば、その場所は避けるほうがいいでしょう。
予防策③ 熊に自分の存在を知らせよう
熊は人の気配を感じると、先に逃げるなどして、人と出会うのを避けるのがふつうです。
ただ、採食中の熊は夢中になっていたり、熊の注意力が、川音などで散漫になっていて人に気づかないこともあります。
また、なるべく早く自分の存在を熊に知らせるようにしましょう。ただし、熊が明らかにいない見通しの良い場所や、人が絶えずいる場所などでは、鈴やラジオの音はやめて周りに迷惑にならないようにしましょう。
熊に出会う場所
では、具体的にどんな場所が熊と出会いやすいのでしょうか?
樹林の中
熊は冬眠から覚める4月〜5月頃はブナやミズナラの木に登って若芽や実を食べたりするので、熊に出会いやすくなります。
また、朝夕の薄暗い時間帯は、クマの採食活動が盛んなので、その時間帯は熊に出会わないようにする為にも避けるようにするといいでしょう。
山すそ
6月〜9月などは山すその湿原などに熊が現れることも多くミズバショウなどの実を食べたりします。また、尾瀬の植物は熊にとっては大切な食糧になります。
また尾瀬では、AM5時から9時とPM5時から7時の間で、熊が目撃されることが多いようです。
笹が茂っている場所
山林や山すそだけでなく、6月〜7月は笹が茂っている場所にタケノコを食べにきていることがあります。
川の周りが林になっている場所
川の周りが林になっているような場所の木道を熊が横切っていく姿がよく目撃されているとのこと。また、そんな場所は熊の注意力が川音などで散漫になっていて人の気配に気づかず、接近してくる可能性があります。
熊と遭遇した時の対策
熊の生活圏となる山林等へ踏み入る際はもちろんですが、人の生活圏でも熊と遭遇する可能性があります。熊による人身被害を回避するためには、熊と遭遇した際に落ち着いて適切に行動することがとても大切です。ここでは、熊と遭遇した 場合にとるべき行動について紹介したいと思います。
⭐️遠くに熊がいると気づいた場合
遠くに熊がいると気づいた場合は、急に大声をあげたり、急に走って逃げ出したりせず、落ち着いて物音をたてず、静かにその場から立ち去りましょう。急な行動をとったりすると熊が驚きこちらに向かってくることがありますので、絶対やめましょう‼️
たいていの熊は、先に人の気配に気づいて隠れたり、立ち去る場合が多いのですが、もし気が付いていないようであれば存在を知らせるため、物音を立てるなどして、様子を見ながらそっと立ち去りましょう。
⭐️近くに熊がいると気づいた場合
近くに熊がいると気づいた場合は、まずはとにかく落ち着くことが大切です。
50mほどの距離で遭遇した場合は、腕を大きく振るなどして熊にこちらの存在を知らせます。しかし、この距離だと追いかけられたら逃げられないため、熊のほうに逃げてもらうような行動をとりましょう。
例えば、岩や倒木があれば、登って姿を大きく見せることも有効です。その後、熊から目を離さず、ゆっくりと後退しましょう。
じっと動かずにいるのも逆に敵だと思われる可能性があるため、ゆっくり後退することが大切です。
たまに熊が気づいて向かってくることがありますが、本気で攻撃するのではなく、威嚇突進といって、すぐ立ち止まっては引き返す行動を見せる場合があります。この場合は、落ち着いて熊との距離をとることで、しばらくすると熊が立ち去る場合があります。
万が一熊が接近してきて逃げ場所がなさそうであれば、威嚇するようにしましょう。具体的には、できるだけ高い位置に立ち姿を大きく見せたり、大声を出したり、ものを使って大きな音を出したりするといいでしょう。
もしカメラを携行しており、フラッシュをすぐに発光できる状態であれば、フラッシュも熊に対する威嚇になる可能性があります。
⭐️至近距離で突発的に遭遇した場合
20メートル以内など至近距離で遭遇した場合は、熊がパニックを起こさないよう、とにかくこちらがびっくりして大声を出さないように注意しましょう。
また熊は、走って逃げるものを追いかける習性がある為、背を向けて走って逃げることは、熊の攻撃性を高めるのでNGです。
熊から目線をそらさず、ゆっくりと歩いて後退するようにしましょう。
熊は攻撃的行動として、引っ掻く、噛み付くなど の行動をとります。顔や頭を攻撃されることが多いため、両腕で顔や頭を覆い、直ちにうつ 伏せになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめる行動をとることがとても大切です。
アイテムとして、熊撃退スプレーを持っている場合は、熊に噴射することで攻撃を回避できる可能性が高くなります。
スプレーの種類によっても違いますが、基本的には5メートルほどの距離で噴射するのがいいと言われています。
スプレーにはとうがらしに含まれるカプサイシンという辛さの成分が入っているので、目とか鼻とか口のような粘膜系の部分を狙って噴射すると即効性があります。ただし熊だけでなく、人間にとってもすごく刺激があって痛みを感じるので、極力自分の体から離して噴射するようにしましょう。
また、もしもクマが一気に迫ってきた場合には1〜2秒程で接近してしまいます。スプレーをリュックサックなどに入れていて、すぐに取り出すことができないと持っていても意味がありません。腰や胸元などに付けてすぐに取り出せる状況で持っておくことがとても大切です。
熊よけグッズ
熊に遭遇した時の対策をいくつか紹介しましたが、まずは熊に遭遇しないようにすることがベストですね。
最近は熊による被害もでていることもあり、お店でも熊よけ対策グッズなども販売されているのをよく目にします。
では、熊よけ対策や撃退のグッズには具体的にどんなものがあるのでしょうか?
獣よけ線香
獣よけ線香とは、熊やイノシシ、鹿、アライグマタヌキなど嗅覚が鋭い獣に対して効果がある線香です。
一般的にある虫除け線香に獣が嫌うトウガラシの成分をねり込み、蚊などの虫よけと同じ感覚で使うことができます。
燃焼時間は約5時間半〜6時間程度
(気象状況により多少変化)
ただ、通常の線香よりも煙が多く出るので、キャンプではテントから少し離れたところで焚くようにするといいでしょう(*^▽^*)🌟
また、獣よけ線香は人間にも刺激が強いので、素手で触ったり、煙を吸ったりしないよう注意しましょう‼️
熊鈴
熊などの獣に人間の存在を知らせるための鈴です。その為、遠くまで響く高い音を鳴らすことができます。
熊鈴は主にアウトドアショップで販売されていますが、地域によってはホームセンターなどでも販売されていることもあります。
熊鈴は普段は鳴らないようにストッパーをつけられるタイプもあります。
熊鈴をつけているからと言って、絶対に熊よけになるわけではありません。山林に入る時は、常に獣などがいないか周りを警戒をするようにしましょう。
熊鈴以外に人間の存在を知らせる方法もあります。例えば複数人での談笑やラジオや音楽プレーヤー、声出しなどがそれに当たります。
よくある質問
熊の弱点はどこですか?
クマの弱点は顔です。襲ってきたら、やられる前にクマの目、鼻、眉間を攻撃するのが一番です。
パンチした人もいますが、怪我は免れないのでスティック等で突くのが有効です。
クマの腹などを攻撃しても、効果は弱いと思います。また中途半端な攻撃は、かえってクマを興奮させるので、一撃でクマにダメージを与える事が大切です。
熊に遭遇したらやってはいけないことは?
急に行動したり慌てたりすると、クマが驚いてしまい、どんな行動を取るかわからないのでとても危険です。
クマに遭遇した際に背中を見せて走るのも絶対NGです。
クマは本能的に逃走する対象を追いかける傾向があるので、背中を見せて逃げ出すと攻撃性を高める場合がるので注意しましょう‼️
クマに勝てる方法はありますか?
車の中や木の上など、すぐに避難できる場所があればそこへ退避しましょう。
近くに退避場所がなく、逃げ場もない場合には、石や倒木の上に立ち、自分を大きく見せて大きな声や音を出して威嚇してください。
また 2人以上いる場合は、必ずまとまって行動するようにしましょう‼️
また、撃退用スプレーを持っている場合は、噴射準備しましょう。
熊が怖がるものはありますか?
ステッキやスコップ、ピッケルなどを振り回すと、クマは怖がるようです。
鎌などを持っていた場合は、振り回し、できるだけ自分の体を大きく見せるようにしましょう。
熊と遭遇しないようにする為には?
入山地域のクマの出没情報を収集し、危険な場所には近づかないようにしましょう。
クマの行動が活発な朝夕や霧が出ているときの行動はさけましょう。
できるだけ単独行動はさけ、2人以上で行動しましょう。
鈴、笛、ラジオなど音のするものを身につけ人の存在を知らせるようにしましょう。
また、熊は非常に優れた嗅覚を持っており、3キロ離れた場所からでも臭いを嗅ぎ分けるといわれています。そして 熊は臭いで危険を察知します。
そんな熊を撃退する商品があります。それは、「熊をぼる」です。
「熊をぼる」はカプサイシン・木酢液などを混合しており、強力な刺激臭を発生させます。 その刺激臭を嗅いだ熊は、「体が燃えてしまう」様な感覚になるようです。
熊が出没する場所に、ペットボトルに 切り込みを入れて設置または布などに染み込ませて設置するといいでしょう。
まとめ
熊に出会った時の対処法、熊よけの方法について、いくつか紹介しましたが、いかがでしたか?
各地で熊被害が出ている今、自分は大丈夫だと思っていても いつどこで熊に遭遇するかわかりません。 いざ出会ってしまったとき、パニックになり行動することで、熊を刺激して命を落とす危険もあります。
そうならない為にもいざという時の対処法を知ることは自分や周りを熊から守ることにつながります。是非、今回紹介した対処方法、熊よけグッズを利用して、キャンプやハイキングなどを楽しんでみてください。